靴下、織布、プラスチックが広陵町を代表する産業です。
長い歴史の中で、技術力とノウハウを蓄積し、それぞれの分野
で卓越した評価を受けています。これらの産業は、町の活性化
に大きく貢献していると同時に雇用機会の創出、地元労働力の
吸収など、様々な面で地元経済に影響を及ぼしています。
1994年(平成6年)の工業統計によると、製造品の出荷額等は約
426億円。この中で靴下を中心とする繊維産業が約294億円、プ
ラスチック製品製造が約51億円とこの2業種で約8割を占めて
います。奈良県は全国でも最大の靴下団地で、広陵町はその中
核産地として発展してきました。広陵町は古くから大和木綿の産地として、その名を広く知
られてきました。この地で靴下作りを始めたのは疋相の吉井泰治郎といわれています。
地主の分家の二代目だった泰治郎は、明治43年、手回しの編み立て機を購入し、工場をつくり、靴下生産に
活路を見いだしたのが「靴下の町 広陵」の発祥です。大和木綿が農家の副業として広陵町に定着したように、
靴下産業も農村工業を基盤として成立した地場産業であります。
靴下産業は、編み立て部門を頂点に染色、セット加工、
刺繍、縫製等、靴下産業に関わる企業と、すそ野の広が
りを見せる一般家庭内職に支えられ発展してきました。
これら下請け加工としての役割を担う企業や一般家庭の
ほとんどを町内で賄っていることから、地域内での経済
的波及効果が大きいのが特徴です。 この靴下産業は、
戦後、ウーリーナイロン糸の登場により飛躍的な発展を
遂げ、質、量共に全国有数の規模を誇る靴下産業として発展し、また町の経済を支える基幹
産業としての役割を担ってきました。
しかし、最近では中国、韓国等から安価な輸入品が大量に流入してきたことにより、国内で
の生産量が減少傾向にあります。また生産拠点を海外に移転していく傾向の中で、空洞化の
状況となってきました。